こんなバカップル

パラリ、パラリと本をめくる音が聞こえるほど静寂した図書室の一角にルルーシュはいた。
ルルーシュは本が好きだ。
知識を得る手段としても、時間を潰す相手としても本は素晴らしいものだと思っている。
年間の読書数は数え切れず、図書館で本を一番借りている人物としてすぐ名前が挙が
るほどだ。

 

今読んでいる本はシェークスピア。
人間の本質がまざまざと書かれ、どろどろとした中に溢れる人間性になんとなくルル
ーシュは共感した。
ハムレット、リア王……。
Ｃ.Ｃ.の言う王の力は俺を孤独にする…。つまり王の器を持つものはこの人たちのよ
うに孤独と疑いと猜疑心の中で過ごしていくしかないのか。
はたまた、この人たちが王の器に足る者ではなかったのだろうか。

――ふ。考えても答えは出ない、か。
俺は孤独になる。それはもう決まったことじゃないか。
ナナリーに優しい世界を作るためにと、決めた。そうだろう？ルルーシュ。

そんなことを考えていると、プシュという音と共に図書室のドアが開かれた。
そちらに目を向けると、きょろきょろと頭を動かして誰かを探しているスザクがいた。
そうしていると自分と目が合い、スザクは満面の笑みを浮かべてテクテクと俺に近寄
ってきた。

「ルルーシュ、ここにいたんだね！」
「ああ。読みたい本があったからな。」

ニコニコと笑顔を振りまいてこちらを見つめてくるスザクは、飼い主を見つけて喜ん
でいる犬そのものだ。
可愛いの者が好き、そしてスザクを好きなルルーシュは思わずふわふわしたスザクの
髪の毛をモフモフとなでた。

それにきょとんとしつつも嬉しそうに笑みをこぼすスザクは可愛らしい。

「で、俺に何のようだ？」
「あ！！そうだった！！」

忘れてた！と大声を上げるスザクを「静かにしろ」とぽかりと叩く。
えへへ、ごめんごめんといいながらスザクは「これ、受け取って？」と白い封筒を俺
に渡した。

「なんだ、これは。」
「え、えっと……」
「…？なんだ？やましいものか？」
「い、いや、そういうんじゃなくて…その、えっと///」
「はっきりしない奴だな…。」
普通の奴がこんなにじれったい態度をとるとイライラしてしまうルルーシュも、大好
きなスザクが相手になるとそれも許せてしまう。

―恋とはおそろしいものだな…。

などと思いにふけっていると、スザクがぎゅっとルルーシュの手を握ってきた。

「どうした？？」
「あ、あのね…///そ、それはラブレターです！」
「ら、ラブレター！？」
「う、うん//////」

ラブレター？
所謂日本語で言う恋文だろうか。
なんだ？なんで今頃恋文など。
俺とお前は思いを通じ合わせたラブラブバカップルも目じゃないカポーだろ？
恋文など本当に今更…。

「僕の思いを文字にしたためてみました！」

突拍子もない事をする恋人に呆れつつ、そんなこいつも愛しいと思う俺は末期かも
しれないと、ルルーシュは自分に呆れた。

でも、嬉しい気持ちは隠せない。

「ありがとう…///」

心からの笑みを浮かべてお礼を言うと、スザクは何故か顔を真っ赤にしてあたふた
した後、ちゅっと音がする可愛らしいキスを頬に落とした。

……ディープキスよりもこっちのほうが恥ずかしいような気がするのは何でだろうか。

「今読んでもいいか？」
「いや、僕が見てないところでお願い！やっぱり恥ずかしい！！」
「ははは、わかったよ。家に帰ってから読むな？」
「うん！！！」

大事にスザクからのラブレターを鞄に入れたルルーシュはスザクと一緒にそそくさと
図書室を後にした。

 

お風呂も明日の準備も済ませ、あとは寝るだけというところになって、ルルーシュは
スザクからの恋文を開いた。

『僕、ブリタニア語下手だから…文法変だったらごめん…』

（ふっ…お前からの心が篭った文章ならどんなものでも俺は嬉しいさ…）

 

『愛しのルルーシュへ。

　突然ですが告白します。

　君にホの字です。
　ラブ・イズ・ブラインド。
　恋の弾丸で、君のハートをねらい撃ち。
　もう気取るのはやめました。

　それでは失礼します。

　スザクより。 』

 

「………アイツ…下手とか言うレベルじゃないだろ…///ポッ（←！？）」

 

こんなに熱い（？）ラブレターを送ってくれる奴がいる。
俺は孤独じゃない。
幸せだ。

すいません。
恋文メーカーで作った恋文をルルーシュにおくらせてみました笑
バカですみません。