絆~ゆかり~⑭
ギャーギャー!と騒いでいる時にゼロの携帯がブルッと震えた。
それに気が付いたスザクはゼロの声は仮面の変声期を通して出している為、慌てて仮面を被り「なんだ?」と応対する。
それを複雑な表情で聞きながら、ルルーシュは自分の手のひらを開いたり閉じたりする。
Cの世界に閉じ込められていた記憶も、ルルーシュ・ランペルージとして生きていた記憶も両方持っている事はルルーシュに混乱を与えたが、優秀な彼の頭脳はすぐその状況に慣れた。
どうやら今の自分には弟妹がいるらしい。
それがなナナリーとロロだった事には驚いたが、最後まで自分を信じて着いてきてくれたロロを今の自分がかわいがっている事は喜ばしかった。
唯一の難点は父シャルルの前世の情報と現世の情報のかけ離れっぷりだ。
あのロールケーキが…あのロールケーキが人情家で親馬鹿だなんて…。
憂鬱だ…とため息を吐いた所で「分かった。今すぐいく。」とスザクが電話を切った。
「どうかしたのか?」
「うん。どうやら軍で動きがあったみたいだ。情報局に行って来る。」
「ふ~ん。じゃあ俺も行くか。」
「そう?まあ君は参謀だから――って何で仮面を取るの。」
「ん?」
「ってマント脱がさない脱がさない!なにしてんの!!」
ルルーシュはまじめな表情でスザクから仮面を奪い、マントをはぎ、ついには上着を脱がそうと手を伸ばした。
生憎それはスザクに遮断されたが。
「なぜって…俺がいるんだから俺がゼロをやったほうが早い。お前はKMF部隊の隊長にでもなれ。」
「なにをいってるんだい。僕がゼロだ。君はルルーシュ・ランペルージとして生活していればいいんだ。」
「強情な……ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる!その衣装をよこせ!!」
「Yes your majesty…ってそういうわけにはいかないぞ!!」
「くっ…」
傍から見るとルルーシュがスザクを襲っているように見えるそれは、非常に滑稽な様だった。
「おい…早く行かなくていいのか?」
「だってC.C.!ルルーシュが僕の衣装を脱がそうとするんだ!」
「涙目で訴えても私には効果は無いぞ。――ルルーシュ、スザクに仮面を返せ。」
「何故だ!元はといえば俺がゼロだったんだ。俺がゼロになる。」
「お前はルルーシュとしての居場所があるだろう。そいつはゼロとしてしか生きるすべが無いんだ。返してやれ。」
「……分かった。」
すごすごとスザクにマントと仮面を返すとルルーシュはすねたように口を尖らせた。
そこにふわっとキスを施されてルルーシュの顔は真っ赤になる。
「たらし……」とせめてもの反抗を見せるとスザクは「??」といった表情で仮面を被ると雰囲気を『ゼロ』のものにがらりと変え「行くぞ」と声をかけた。
情報局に行くと局員が「ゼロ!」と焦り交じりの声ですっ飛んできた。
「どうした。なにか重大な問題でも?」
「それが――この間ゼロと対戦した赤いKMFのパイロットが通信を寄越しているんです。」
「カレンが!?」
思わずルルーシュが口を出すと「あのパイロットと知り合いなのですか?」と問われる。それに「学校のクラスメイトだ」と答えるといぶかしげな表情を向けられる。
おそらく俺が軍のスパイか何かかと疑っているのだろう。
「彼女は親を人質に戦わされているようだ…。母親はこちらでこの間保護した。その事に気が付いたのだろう。」
「なるほど…それで通信を寄越したんですね。」
フォローするかのようなゼロの発言を聞いたその男はルルーシュに軽く頭を下げて謝罪を示した。
(くそ…スザクの癖に……。)
「通信をまわせ。私が応対する。」
「了解。」
カタカタと何か指示を出した後、目の前の巨大スクリーンにカレンの姿が写った。
「これはこれは…何か私に御用かな?」
『ゼロ――先日は私の母の恩人に申し訳ないことを…!ごめんなさい!』
「別に君の母親だけを助けたわけではない…囚われたものたちの中に君の母親がいた。それだけだ。」
『それでも。それでも感謝しています。』
「そうか―。で、他にもなにかあるのかな?」
『はい。ゼロ。私を是非黒の騎士団に!KMFの操縦ならきっと貴方のお役に立てます。』
そう告げる彼女の強い眼差しに、ルルーシュは初めて彼女と手を取り合ったことを思い出した。彼女の美しさはその内面からあふれる生命力だと、ルルーシュはずっと思っていた。
「さて…どうしようか?我が参謀?」
「そうだな……彼女は本気かと。」
『ル、ルルーシュ君!?どうしてそこに……!!』
「我々が彼の父親とクラスメイトを解放した後に保護した。父親をおびき出すための人質に利用されかねなかったからな。」
「そういうことだ、カレン。黒の騎士団に入るという事は君が今までの生活に後戻りできない事を意味しているんだぞ。そこは分かっているのか?」
『もちろんよ。それに私はすでに元の生活に戻れないわ…今だって脱走兵として追われているもの。』
「――騎士団の入団への返答は後日する。それよりも先に君を保護しよう。」
「ゼロ…。」
『よろしいんですか!?』
「構わない。こちらから迎えに赴く。ポイント指定と合流方法は局員に任せる。」
「了解しました!」
「ではカレン嬢、後ほど基地でお会いしよう…。」
『ええ。また後で。』
局員に指示を出し、くれぐれも無事につれてくるようにと念押ししゼロとルルーシュは情報局を後にした。
ルルーシュは改めてスザクの『ゼロぶり』に感心した。
こうも見事に自分の真似をするとは思っても見なかった。きっと自分がゼロの模倣をするときにした様に彼も研究をしたのだろう。
ポーズの練習をするスザクを想像して思わず噴出してしまったルルーシュを、ゼロが胡乱気に見つめた。
一時戻ってなかった自室にゼロを引き連れてルルーシュは向かった。
中で暖かく出迎えてくれるナナリーとロロに改めて癒される。
こうしてこの二人が笑ってくれている。その事実は今の『ルルーシュ』になる前よりも嬉しいことだった。
ゼロの部屋に行ったっきりの服装を指摘されたので着替えて再び戻ってくると、ゼロとナナリーたちが楽しそうに会話していた。
「お兄さんと一緒にいて幸せか?」
「もちろんです!兄さんは僕達に必要な大切な家族です。」
「お兄様は私の誇りなんです。」
「ふふ…君達兄弟は仲がいいな。」
「はい!仲良しです。」
そう微笑むナナリーにゼロも嬉しそうに笑っているような気がした。
「人を話の種にするな。」
「いいじゃないか。貶しているわけでもあるまい。」
「ふん。かわいいだろう?ナナリーとロロは。」
「ああ。君がブラコン・シスコンになる理由も分からなくも無い…」
分からなくも無いではなくわかれ!と叱ろうとしたところに再びゼロの携帯が鳴り出した。
カレンと一緒にイレギュラーが数名基地に到着したという報告だった。
早足で格納庫に赴くと、カレンの到着を待ち構えていた彼女の母親と、それに抱きつくカレン。
「会長にリヴァルにニーナ!?」
何故か会長、リヴァル、ニーナまでもがそこに居た。
ゼロが誰かに「シャーリー嬢をこちらへ」と指示しているのを耳にしながら、ルルーシュは彼らの元へと駆け出した。
「「「ルルーシュ(君)!」」」
「カレンはともかく…どうして三人まで?」
「実は私の家でカレンとニーナを匿っててね。」
「ニーナも?」
「ルルーシュもニーナの頭のよさは知ってるだろ~?そこに目をつけた軍が彼女を研究部に引き抜こうとしたって訳。」
「なるほど…女性にまで手を出すほど軍は逼迫しているという事か…。」
「ルルーシュこそここで何をしているの?」
「ゼロに助けられてからは解放作戦への助言などをしている。」
「そういやお前チェス強かったもんな!」
「ねえルルーシュ…シャーリーは?」
「え、ああ。シャーリーは…」
そういってゼロの方を見やると、彼がシャーリーを伴ってこちらに来た。
「みんな!!!」
「「「シャーリー!!無事でよかった!!」」」
「うん!!皆も無事でよかったぁ!」
カレンも輪に混じり、久々の生徒会メンバーが勢ぞろいした。
仲間の無事を喜び、安堵する。
前世では無くした彼らを守る事ができた。
ほっと胸をなでおろすルルーシュを一瞥した後、「彼らに部屋を一室用意しろ。話はそこでするようにと言っておけ。」と隊員に告げ、ゼロは自室に戻った。
シュンッと開くドアをくぐり、中に入る。
ベッドに寝そべるC.C.に「ちょっと質問がある」と声をかけ、椅子に座る。
「ルルーシュはどうした?」
「生徒会メンバーが全員そろっちゃってね。積もる話もあるだろうし置いてきた。」
「そうか……それで、話とは一体なんだ?」
「ルルーシュの自分を自分で許す事って言う条件だけど。彼が幸せになって、罪の事を忘れた場合でもそれは可能なの?」
「可能だろう。自分が幸せになってもいいんだと思うという事は自分を許していると同義ではないか?」
「なるほど……。なら、早くこの世界を平和にしてルルーシュをただの「ルルーシュ・ランペルージ」に戻さないといけないね。」
「ふふ…。お前は本当にルルーシュが好きだな。」
「うん。彼には今度こそ暖かい優しい世界で幸せになってほしいんだ…。」
そう朗らかに笑うと、ゼロはC.C.に礼を述べて部屋を出た。
ゼロが出て行った数分後、すごい勢いで部屋のドアが開いた。
それに驚く事も無く「遅かったな」とC.C.は振り向く。
息を乱したルルーシュは「スザクはどこだ?」と尋ねるが「知らん」と答える。
ちっと舌打ちをし、ドガっと椅子に座るルルーシュは「お前本当に前世は皇帝だったのか?」と問いたくなるくらい行儀が悪かった。
「お前。このままだとあいつに負けるぞ?」
「スザクに?どうしてだ?」
「もともと、お前の方が現時点で不利だ。その上あいつはお前を呪いから解き放つ方法を見つけてしまった。」
「!お前が教えたのか?」
「違う。あいつが自分で気がついたんだよ。お前も頑張らないとな?負けず嫌い」
「…。スザクは俺が望んだから…俺が『永遠に』なんて願いをかけたから…。」
「そうじゃない。あいつが本当に望んだものは、普通の人間にとっては些細な、でもお前達にとっては絶対に不可能な事だった。」
「――教えてくれC.C.。何なんだそれは」
こうして人に教えを請うのはルルーシュのプライドをいたく刺激したが、それに構っている場合ではなかった。
心臓の止まったスザク。成長しない不老不死の体。
それを言うならば目の前のC.C.もそうだが、彼女と彼の違いは俺が彼を愛しているという事。そして今の彼の現状が自分によってもたらされているという事だ。
彼を解放したい。
幸せになってもらいたい。
その一心がルルーシュを動かしていた。
「教えてやろう、ルルーシュ。あいつが望んだのは『お前と共にある未来』だ。」
「俺と共にある未来――?」
「ここから先は自分で考えろ。それが解ければ、あいつも呪いから解放されるだろう。」
そういうとC.C.は再びベッドに身を横たえて目を瞑った。
夜になってもスザクは自室に帰ってこなかった。
痺れを切らしたルルーシュは彼が行きそうな部屋を片っ端から訪ねた。
そして最後に情報局にたどり着いたとき、中から声が漏れていることに気がつき、そっと耳を欹てる。
「つまり前面交戦はない、と。」
「ああ。民間人に被害を出すわけには行かない。我々は内側から日本という国を変えなければならない。」
「しかし…」
「今、世論は反内閣率が80パーセントを越えている。今我々が政権交代を持ちかければ国民の賛同を得られるだろう。それを押さえつけるほどの武力はこの間の一戦で殺いでおいた。」
「あの奇襲にはそんな意味があったんですね…。」
「ああ。それで我々から一人候補者を募り、その人物を次のトップへとすえる。」
「――シャルル・ランペルージ氏ですか?」
「その通り。彼はフェネット一家を助けた英雄として国民にはひっそりと人気がある。それに彼は意外と統率力がある。きっと国政をうまく動かしてくれるだろう。」
「なるほど…しかし、それでもどうにもならない時はどうしますか?」
「失敗したときのことを想定するのは必要な事だが。成功させるために色々と手を打つ方が先ではないか?」
スザクの自室へと引き返しながら、ルルーシュはスザクと局員のやり取りを思い返した。
彼の成長を否応なしに実感させられずにはいられなかった。
内側から変える。その姿勢は今でも変わらない。それでもその手腕にはルルーシュも目を瞠るものがあり、全ては彼の思い通りになると感じた。
部屋に入る。C.C.はいなかった。
ベッドにぼすんと横たわる。チーズ君が哀れにもルルーシュの体重でつぶされた。
情けない表情をしている自覚があるルルーシュは彼女がいなくて好都合だった。
本当はC.C.とスザクが二人っきりで200年も旅を続けたという事にも嫉妬していた。
自分と彼が共に居た期間は計算すると3年にも満たない。しかもお互いを理解しあって、愛を深め合った期間など三ヶ月もなかった。
その何倍にも及ぶ時間を二人は共に過ごしたと思うとルルーシュの心にはなんとも言いようが無い嫉妬がわいた。
彼らの間に甘い感情は無い。
それにそれを疑うのは自分のせいで時まで止めてしまったスザクに失礼だというものだ。
それでもどうしようもないこの感情はどうすればいいんだろうか。
そのままゴロゴロとしているとスザクが帰ってきた。
こんな感情を悟られたくなくて思わず先日のように寝た振りをしてしまう。
あの時彼が言った「ルルーシュ」とは今現在自分の事であり、自分で自分に嫉妬したとなると自分はどこまで狭心なのかと呆れを止められない。
今になって聞き取れなかったC.C.の台詞が頭をよぎる。
『お前は私達の王だから』
そしてその時ようやくスザクの呪いの解き方を理解した気がした。
寝ていると思っているのだろう、スザクはこの間のように俺の頭のそばに腰を落とした。
(お前は本当に帝国最強の騎士だったのか?俺の狸寝入り位見破れ!)
そう思いつつも優しく頭をなでるスザクに起きてるなど言えず、寝た振りを続けた。
「ルルーシュ、愛してる……だから今度こそ君は幸せに……。」
そういって唇を落とそうとするスザクにとうとうルルーシュは目をあけた。
「ルルーシュ、起きてたの…?」
目に見えてうろたえるスザクにルルーシュは睨み付ける。
「お前は幸せにならないのか?」
「僕は……」
「なら、俺は幸せになれないな。」
「なぜ。君にはロロもナナリーも、生徒会のメンバーもいて……ああ、日本の事なら大丈夫。僕がすぐ平和にしてあげるから。」
「そんな事を言ってるんじゃない!!」
ぐっとスザクの胸倉を掴み揺さぶる。
どうしてわからないんだ!こいつは!!そう思うと知らぬうちに視界が潤んだ。
「俺が幸せになるためにはお前が居ないと駄目だという事に、どうして気がつかないんだ!!!!」
「お前の望みは俺と共に過ごす未来なんだろ!?ならお前も望めよ、俺と一緒に幸せになる明日を!!」
伝われ!伝わってくれ…この鈍感で空気の読めない馬鹿に。
スザクを押し倒し、上から顔を覗き込む。
涙が今にも零れ落ちスザクの顔を濡らしそうだった。
「ルルーシュ…僕は確かに君と過ごす未来を望んだ。でもそれ以上に君が優しい世界で幸せに過ごすことを望んでいるんだ。」
「そのなかに!そのなかにお前が存在すればいいじゃないか!お前の居場所は俺の隣だろう?」
「君にはルルーシュ・ランペルージとしての生活がある。―僕にはそれがない。」
「そんな事俺がどうにかしてやる!」
「ルルーシュ、聞き分けてよ…。」
「それでも…それでも!俺はお前と幸せになりたい。」
「愛してる…スザク。愛してるんだ…。」
「お前と一緒に明日を歩みたい。」
「愛してる…俺の事も愛して欲しい……!!」
ポタリ、とスザクにルルーシュの涙が落ち、そのまま頬を伝い彼の口に含まれた。
何も言葉を返してくれないスザクにどうしようもない苛立ちを感じ、彼の胸に顔をうずめる。
ひっくひっくとしゃくりあげながら、ふと違和感に気づく。
そっと手を彼の胸へと這わす。
とくんとくんとかすかに振動するそれは――。
「す、スザク!お前心臓が……!」
「ルルーシュ…僕も君を愛してる……愛してる!そばに居て、一緒に過ごして、同じものを見て感じて幸せを共有したい…」
ぎゅうと抱きしめられ、そのまま彼の胸に耳を押し当て鼓動を感じ再び涙がぽろりとこぼれた。
「ルルーシュの呪いを解くには君が幸せでないといけないんだ。」
「だったらお前がそばに居ればそのうち呪いは解ける。」
「僕ののろいは?」
「俺と一緒に幸せになること――だ。」
「なら…」
「ああ。」
「「一緒に幸せになろう」」
そういって口を寄せる。
スザクは200年ぶりの、ルルーシュにとって初めての行為は痛みと疲れを齎したが「彼とひとつ」になれた。その思いで胸があふれかえった。
スザクと恋人になるまでは性交に対してあまり良いイメージを持っていなかったが、その意識を変えたのは彼だ。愛しているという想いがじかに感じられるこれは恥ずかしくもあり、また暖かかった。
時を止めてしまうほど自分を愛してくれる人が居る。幸せになってと願ってくれる人が居る。
そしてその人と今度こそは共に歩めるのだ、と。
(ああ、俺は今、幸せだ――。)
Cの世界へとつながっていた糸がふっと途切れたのを感じた。
今この瞬間。
ルルーシュとスザクは過去の茨から解放された。
黒の騎士団による政権交代から1年。
軍は解体され、日本は永世中立国として世界各国に宣言をした。
平和がいかに大切か、戦争が引き起こす悲しみを訴え続けた首相、シャルル・ランペルージの意見が徐々に世界へと浸透しようとしている。
政治家は相変わらず戦争へと意識が行こうとしているが、人々は戦争など求めていない。
立ち上がった人々によって世界の情勢は以前よりも比較的ましになりつつある。
東京の住宅街の一角にランペルージ家はあった。
首相官邸では無く、シャルルは子供達とその一戸建てにすんでいた。
曰く「一般の人々の視線で物事を見る事に意義がある」と。
支持率90越えの首相の姿が近所のディスカウントストアでよく目撃されるというのはご近所で有名なうわさだ。
そのランペルージ家の隣のアパートにランペルージ一家の長男と同じ年の入居者がきたらしい。
キーンコーンカーンコーンと独特のチャイム。
わいわいと騒ぐ生徒。
それをいさめる先生。
そのどれもが懐かしい。
「今日からこのクラスの一員になる枢木スザク君だ。みんな仲良くしろよ~」
「枢木スザクです。よろしくお願いします。」
「枢木、お前はランペルージの横に座れ。」
「はい」
かたりと椅子に座る。
隣に座る彼と視線を合わせ「これからよろしく」と微笑む。
「こちらこそ?」といたづらに微笑む彼の手を取り、机の下で手を握った。
一緒に幸せになろう。
今度こそ。
前世でできなかった事は全部一緒にしよう。
花火も夏祭りも探検も、全部全部。
幸せになろう。
明日を共に――。
絆~ゆかり~
END
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あとがき
ここまで応援ありがとうございました。予想外に長くなってしまい困惑しておりましたが、無事にエンドマークをつける事ができほっとしております。
伏線を一応全部回収したと思っておりますが見落としもあるがあるかもしれませんので、そのときはこっそり教えてくだされば、付け足したいと思います(笑)
アーサーはずっとスザクとルルーシュのお墓の前に居ました。
それを銅像にしたのは前世のカレンさんという裏設定があります。
なぜ彼らの墓が壊されずに残っていたのかというと、死者の眠りは妨げてはならないという日本人独特の感覚からきっとそうなると踏んだからです。
だからこそ、そこをルルーシュとスザクの名前をゲットする場所に選んだわけですが。
長編小説を書いたのは初めてで(というより同人活動すら初めて)、終わらせる事ができて本当に一安心です。
書きたいネタはまだまだありますし、スザルルへの愛は消えません。
これからも応援のほどよろしくお願いいたします。
無題
>Senさん
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