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くるるる星座

     スザルルにくらっと落とされた管理人によるスザルルサイト。 浮気できない性質なのでスザルルのみ。 ラブラブ甘々でたまにシリアスな感じで展開していきます。無断転載等はご遠慮ください。 ※リンクフリーですが、報告をいただければ幸せです。 ※オンラインブックマークは厳禁です。

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絆10

絆~ゆかり~⑩

 

 

 

あのあとルルーシュは眠りに付くことができなかった。
胸を渦巻く黒い感情が一体何なのか検討も付かない、そして彼の呼んだ『ルルーシュ』とは一体誰なのか。自分とは一体何が関係しているのかを考え続けていた。

ゼロは自分が彼のベッドを占領した時、自分の隣にもぐりこんでくるということはもちろんなく、おそらく一日中起きているのだろう。
自分が彼の部屋に泊まると、仮面をはずせない彼が一睡もできない。それを知っていながら止めないのは、こうしていれば素のままの彼を見せてくれるときがくるのではないかと期待してたからだ。
しかし彼はそんな素振りを微塵も見せず、見事にゼロを演じきってみせる。
自分の前では少し砕けるようになった口調だけが、彼とルルーシュの仲を示すものだった。

今日も彼はベッドに付くことも無く朝を迎えた。

 

昼間までは計画に必要なKMFやほかに必要な機器の綿密な検査と隊員の行動の最終確認。
午後から計画開始の時間までは再度はじめから作戦に目を通しミスなどが無いかチェックした。

昨夜のことを引きずっていたルルーシュはそのすべてに集中することができず、ゼロにどうかしたのか?と何度も聞かれたがあいまいに流し、無理やり作戦に集中しようとした。

 

昨日と同じように隊員が広間に整列して、ゼロの指示を受けている。
あの時とはまた違った緊張感が場を支配し、背筋がピンっと張った。

「諸君…いよいよ作戦開始の時が来た。国という組織に囚われ、理不尽な行為を強いられている我々の仲間を救い出すのが今回の作戦の目的。何が何でも救い出す。」

『おおお!!!』

「だが、これだけは守ってくれ。もし自分の命が危ないと思ってもそこで諦めるな。全力で回避しろ。我々は平和な国、いや、世界を作るためにこうして集った仲間。一人足りとて掛けることは許さん!」

手を大きく広げ、ゼロは声を上げる。

「明日を手に入れるために!!」

『明日の為に!!』

 

 

「ゼロ、総員配置に付きました。」
情報局と呼ばれる作戦本会議室では、大きなディスプレイがKMFの戦闘配置を表示していた。
ゼロとルルーシュはそこから全体への指示を出す予定、だった。

わかった、と隊員の一人に返事をするとゼロはルルーシュのほうを向いて「ここはお前とC.C.任せる」と言い捨てて情報局を出て行こうとした。
それに「どういうことだ。どこに行く!」と声を上げると「ゼロは前線に立ち、戦況を把握し動くものだ。ここからの指示、待っているぞ。」と言い残すと戸惑いの無い足取りで出て行った。

困惑したルルーシュはC.C.の方を見つめると「心配するな。あいつのKMFに勝てる奴はそうそういない」と興奮を落ち着かせるような声色で告げられた。

「あいつは前線に出るのか?そもそもKMFを所持しているなんて聞いていない!」
「お前の調査は所詮その程度だったのか?ゼロがKMFを乗り回して戦場に出ることなど周知の事実だと思っていたが?」
「それは知っている!だが、あいつと歴史上の『ゼロ』は違うだろう!?」
「何を言っている。『ゼロ』は『ゼロ』だ。」
「代替わりをしているはずだ!俺が知っている限りでも二人はいる!」
「そうだな…そう意味で言うならば『ゼロ』は『二人』で構成されている。」
「もっとわかりやすく説明しろ!!」

軽くいなされていることに激昂しながら、ルルーシュはC.C.に詰め寄った。
『ゼロ』とはそんなに簡単なものではないのか?
『ゼロ』が『二人』とはどういうことなんだ。
わからないことだらけで頭がぐちゃぐちゃだ。


「―――お前がそこまであいつに固執するのはどうしてだ?」
「え?」
C.C.が真顔で口にした質問をうまく理解することができずに、ルルーシュは間の抜けた返事をすることしかできなかった。

「一体どういう――」
「そろそろ時間だ。集中しろ。」
はっとディスプレイを見ると作戦開始の10分前という文字が表示されていた。
作戦に集中しなければならない、と意識を切り替えたルルーシュはC.C.が複雑な表情で自分を見つめていることにも気づかず、彼女が最後にした質問の意図を聞きなおす事も忘れてしまった。

 

 

『よし!すべての準備は整った!白<ビャク>は予定通り右翼から。黄は後方より。黒は正面から突っ込め!』
『はい!!』

ゼロの言葉を合図に黒の騎士団は日本軍基地に一斉に攻撃を仕掛けた。
ターゲットが幽閉されている場所はシャルルからすでに聞きだしており、その救出には白と呼ばれるグループが向かう。
日本軍側KMFの主力が現れるとされるポイントには、騎士団トップクラスの団員が配属されている黒が向かい、軍の戦力を殺ぐのと同時に救出の時間稼ぎをするのが目的だった。

この作戦の一番の目的は「ターゲットの救出」。
国の暴挙により逮捕されたり徴兵された人々を無事に救い出し、国民にアピールすれば黒の騎士団へと世論は傾くだろう。
平和を求める自分たちが力を揮い、軍の犠牲を生んで平和を得ようとすることに難をつけるものも多いだろう。
しかし、言葉や想いだけではどうにもならないことがある。


(ならばその汚れ役を買ってやる。)

それが、ルルーシュがゼロになることを選んだ理由だった。
とんだ事でゼロを『ゼロ』に奪われ、参謀に徹する羽目になってしまったが、今でもその想いは変わらない。


「何が起こっても、何が立ちはだかっても、俺は家族の為に、世界の為にやり遂げてみせる。」

震えながらぐっと握りこんだ拳は、ルルーシュの決意を表していた。
そんな自分を見るC.C.の視線が痛かった。

 

「副総監、現在情勢はこちらが有利のようですね。」
「ああ、白部隊の救出状況も悪くは無い…問題は黒だ。」
「現在黒部隊長が二機と交戦中。黒の2番が一機撃破。」

ピッピッと点滅する機体信号と無線から流れてくる情報を統合して戦況を把握する。
「黒の3、前にいる三機を軽くいなす程度に相手をしろ。黄の5、その隙に回り込んで挟み撃ちをしろ。」

「白部隊、ターゲット全員の無事を確認。トレーラーへと移送を開始。」
「黄色部隊1・4、予定通り護衛に付け。」
「!トレーラー後方に軍の追撃部隊を確認!」
「慌てるな。想定済みだ。黄1・4、対処しろ!」

ただの点滅する信号からは戦局はうまく想像できない。
ルルーシュにできることはこれをチェスにたとえ、友軍に勝利を与えることだけだった。


突然スクリーンから黄色の二つの点滅が途絶えた。

「何事だ!!」
「副総監、黄1・4両機からの信号が途絶えました!!軍の攻撃にやられた模様…。」
「なんだと…!?スクリーンにトレーラー付近の映像を回せ!」
「はい!!」

しばらして現れた画面では、見たことの無い赤い機体が黒の騎士団のKMFに猛攻を揮っていた。

「なんだあの機体は!データ上にはあんなKMFは存在しない!」
「新型、かと。」
「くそ…!予想外の強さだ…。」


(どうすればいい…どうすれば!!)


日本軍の赤い機体に騎士団のKMFは蟻のように蹴散らかされようとしていたその時。
一機の黒いKMFが赤い機体に突撃した。
颯爽と現れたその黒い機体にも見覚えが無いルルーシュや情報局の人間は、ただ目を見開くしかできなかった。
黒い機体はエナジーウィングを用い赤い機体をトレーラーからおいやり、赤が機体を立て直す隙を与えず攻撃を繰り出す。

「一体…何が……。」
「あれは『ゼロ』だ。赤い機体はあいつに任せてお前は戦況を立て直せ。」
「ゼロ!?」
困惑しているルルーシュにC.C.は淡々とした口調で話しかけた。

「ああ。あいつは強いといったろう、気にするな。優先順位はトレーラーの輸送だ。忘れるな。」
「――わかっている!!」

歯を食いしばり、赤と黒の機体から意識を剥がし「黄2・3はトレーラーの護衛に回れ。黒部隊はそのまま正面に他の部隊をひきつけ続けろ。」と指示を出す。
赤い機体はゼロによってトレーラーから程遠い、黒部隊の配置場所まで移動させられていた。

確かにゼロは強い。
KMFとはこんなにも思い通りに動かせるものなのか、と感心しつつも他の部隊への注意も怠らない。

「黄部隊、トレーラー目的地点まで誘導完了。白の報告ではトレーラー内での負傷者はいない模様。」
「よし。黒部隊、作戦完了。撤退開始せよ。黒の5・6、ポイントXで黄1・4を救助してから帰還せよ。」
『了解!!』
「ゼロはどうしますか?」
「あいつからの報告は入ってきていないのか?」
「通信を切られているようで…」
「つなげ。強制的にでもいい。KMF内の状況を流せ。」
「はい。」

パソコンを操り、通信をあわせたのだろう。
ゼロの声と赤の機体の操縦士と思われる声が情報室に響き渡った。

『お前に私の…私たちの何がわかる!!』
『あいにくと私は君ではないから理解はできかねるな。』
『上から見下した態度…頭にくるね……!!』

「本当にあんなに激しい戦闘をしながらこんな会話をしてるのかよ…信じられない」「赤い奴は女だったのか!」と情報局がざわめく中、ルルーシュは視線を赤い機体から離せなくなってしまった。

そんな。
この声は――。


「カレン――?」


『私だって好きで軍の為に戦ってるわけじゃない!友達を殺そうとした奴らのためになんて――!!』
『ではなぜ、君はこうして戦っている?矛盾もはなはだしい。』
『だから、あんたに私の何がわか――』
『矛盾した者が発揮する力はそこまで脅威ではない。』

大きく振りかぶった右手をいなし、その隙に背後に回りこんだゼロは大きな剣で赤い期待を真っ二つにしようとした。
しかしそれはルルーシュの悲鳴のような「止めろ―――――!!!」という叫びで遮られた。

びくりと反応したまま動きを止めたゼロの機体に、隙を逃すはずが無い赤の機体が攻撃を繰り出し、黒い機体は防御することもできないままぶっ飛ばされた。


その後のごたごたをルルーシュははっきり覚えていない。
ただ、目を大きく開き非難するように自分を見つめてくるC.C.の視線から逃れるように目を伏せた。


困惑する隊員に「総員撤退だ。急げ!!」とC.C.が指示を出す。
「ゼロはどうしますか?」「私が迎えに行く。お前たちはトレーラーの事と部隊を撤退させる事だけ考えろ。」と吐き捨てC.C.は局を飛び出していった。

ルルーシュがおそるおそるディスプレイを見上げると、そこには半壊した黒い機体と、あの後反撃を食らったのであろう赤い機体が転がっていた。

 

今、自分は何をした?
赤い機体に乗っていたカレンを殺そうとしたゼロをとめて――。
カレンは仲間だ。明るくて正義感の強いあいつがどうして軍なんかに…。

彼女が敵側にいた。
その事がルルーシュに予想できるはずも無く、知ったときの動揺は計り知れなかった。

部屋を出て行く前にC.C.に言われた言葉が痛かった。

『何が立ちはだかっても成し遂げるのではなかったのか?』

 

 

C.C.が帰還したと情報が入ってきた。
格納庫へ急ぎ向かうと、C.C.と負傷し意識が無いゼロがいた。
ストレッチャーに乗せられ、医務室に搬送されそうになったゼロを止めて彼の自室に運ぶようにとC.C.は指示した。
このくらいの治療なら私ができる、と医師の診察を突っぱねていた。
部屋へ移送しようとする彼女とばちっと視線があい、目で「後で来い」と伝えられたような気がした。


解放された人々への対応を団員に指示した後、ルルーシュは急ぎ足でゼロの部屋へと向かった。
一分一秒が惜しかった。

間違いなく彼の負傷はルルーシュの覚悟の甘さが招いたものだった。
きっとルルーシュの静止がなかったら彼はカレンを倒していたのだろう。
その結果彼女が死ぬ事になったか否か。――彼は殺さずにただ機体だけを破壊するに留めただろうに、と。今なら冷静にそう判断できた。


急いで駆けつけた部屋では、仮面をはずしベッドに横たわるゼロの額の汗をC.C.が拭っているところだった。
顔はタオルで隠されていたが、下着以外の服を剥がされ包帯でくるまれている彼の肌の色が、彼が日本人にちかい人種であることを物語っていた。

思ったより重症のゼロに、責任を痛感しているルルーシュは口も利けずただ入り口で立ち尽くしていた。


「――私は、お前を否定しない。」


ぽつりとこぼれた声にルルーシュは彼女の方へと顔を向けた。
C.C.はこちらに視線を向けずにゼロの汗をぬぐっていた。

「お前のそういうところ―情に熱い所は私も好きだ。が、時と場合による。」
「………。」
「友達だったんだろう?あの女。敵にいるとわかって動揺するのも仕方が無い。」
「………。」
「あまちゃんな所も好きだがな?これだけは言っておく。こいつに命令だけはするな。」
「……え?」

ぬぐう動作を止め、C.C.は俺の方を向いた。


「お前が命令すれば、こいつは何でも成し遂げようとする。」
「命令…?どうし…て?」
「……それは、お前が私たちの――だからだ。」
「?聞こえなかった、もう一度頼む。」
「今はわからなくてもいい…腹が減った。私はピザを食べに出かける。」
「C.C.!!」
「そいつの看病を頼む。死ぬ事は無いが痛覚はあるから暴れるかもしれん。」

椅子から立ち上がりルルーシュに近寄ったC.C.はいつくしむような笑顔を向けながら優しくルルーシュの頭をなでた。

「動けないからって襲うなよ?」
「だれが襲うか!!」
にやっと笑うと「調子が出てきたな。じゃあまた後で」と部屋から出て行った。

そういい残して去っていったC.C.がさっきまで座っていたいすにそっと腰掛けて、恐る恐る彼の汗を拭く。
痛みが走るのだろう、びくっと震える体に知らぬうちに目に水の膜が張る。


「すまない…」
思わず目を瞑ると水が球になって彼の顔を覆っているタオルへとしみこんでいった。

「すまない…痛かっただろう?俺の覚悟が甘いせいで……傷を負わせてしまって…すまない」

一滴落ちてしまった後は、もうどうにも止まらなかった。
涙がぼたぼたと彼の顔へと落ちていく。
投げ出された左手をぎゅっと掴み「すまない」と繰り返し続けていると、ふっと彼が右手で顔に掛かっているタオルをはずし、焦点の合わない瞳で自分を見上げてきた。


その美しい緑色にルルーシュは囚われた。


やわらかい色をしたその瞳。
すいっと伸ばされた右手がルルーシュの頬を柔らかくなでる。

 


「どうしたの?僕は大丈夫だよ。泣かないで?ルルーシュ。」


 

そういってへにゃりと笑ったゼロ。
頬に当たる手の暖かさと、笑顔の優しさに、ルルーシュは泣き崩れた。


「ゼロ……死ぬな……死なないでくれ!!」



その願いに「イエス・ユア・マジェスティ……」とつぶやいたあと、ゼロは目を閉じて眠りに付いた。
 

ルルーシュは彼の両手を握り額にあて目を瞑る。
今、彼が呼んだ「ルルーシュ」は自分であることを願いながら。



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ルルーシュの仲間内に甘い人間性が私は好きです。

私はルルーシュが大好きですよ。
CCはどちらかというとルルーシュ寄りの二人の母親的存在として書かせていただいております。

今作品はルルーシュ視点ですので、スザクが擁護されたりCCがスザク派のように受け取られ兼ねませんが、それはルルーシュ視点であるからだ、と断言させていただきます。

のでスザク視点で書くとルルーシュすてき☆ってなばかりになります。(笑

今回の話も後々の展開に必要なものでした。
大のルルーシュ贔屓の方。どうかご理解いただきたく思いますm(_ _)m
 

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職業:
大学生・星座の観察員
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スザルルにグラグラさせられ、とうとう自分で妄想を形にするにいたった者です。
スザルル同士の方々、一緒に萌えましょうぞ!!

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