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くるるる星座

     スザルルにくらっと落とされた管理人によるスザルルサイト。 浮気できない性質なのでスザルルのみ。 ラブラブ甘々でたまにシリアスな感じで展開していきます。無断転載等はご遠慮ください。 ※リンクフリーですが、報告をいただければ幸せです。 ※オンラインブックマークは厳禁です。

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絆12

絆~ゆかり~⑫

 

 


重い瞼を押し上げて目を開く。
ずっと閉じていた視界が室内灯によって白く染められ、余りの眩しさに目を瞬かせる。
徐々に慣れてきた時に、誰かが自分の顔を覗き込んでいることに気が付いた。


「目が覚めたようだな。気分はどうだ?」
「悪くは無い…な」
「ずいぶんと穏やかな眠りだったな。熱はもう下がったのか?」
「そうみたいだ。」

むくっと体を起こすとベッドの横に椅子を置いてこちらを見つめるC.C.と目があった。

「看病してくれてたのかな。」
「私だけじゃない。お前の横にいる奴も必死に看病していたぞ。」
「横…?―――!!!!」

指で示された方を何気なく振り返ると、先ほどまで自分が横たわっていた隣に彼が眠っていた。
なぜここに彼が――!と混乱する頭をバリバリと引っかく。
そして自分がゼロの仮面を被っていない事に気が付き、真っ青になる。


「C.C.!!」
困惑と動揺が入り混じった声でC.C.の方を振り向く。
「情けない声を出すな。」べしっと額をはじかれ、とりあえず全てを知っているだろう彼女に話を聞くべく、落ち着こうと試みた。
が、あたふたとした挙動はどうする事もできずC.C.に苦笑された。

「とりあえずここで話したらそいつの眠りを妨げてしまう。あちらで話そう。――その前にシャワーを浴びるか?」
「うーん、そうさせてもらうよ。だいぶ汗をかいたみたいだ。」
誰かが着せてくれたのであろうスウェットは汗で濡れて気持ち悪い。
それに頭も想いっきり運動をした後のような感触で不快だった。
「あがってくるまでにコーヒーでも用意しておいてやる。」といった彼女に甘えてシャワールームに入る。
本音を言えば湯船につかりたいところだが、そんな贅沢をできるわけも無く、さっと体と髪を洗い汚れを落とした。
正面にある大鏡にどこと無く痩せた自分の姿が写っていた。
古い傷の上にできた新しい大傷。そっと触るとまだピリッと痛みが走るがたいした問題ではない。
(3キロくらいは軽く落ちてるかもしれないな)
それほど酷い怪我を負ったつもりじゃなかったけどな、とつぶやくと大雑把に体をタオルで拭い、新しいゼロの服を手に取る。

先ほどの様子だとルルーシュは深い眠りについておりそう簡単には目覚めそうにも無かった。だからラフな服装でも構わないかと一瞬考えるが他の隊員が訪ねて来た時のことなども考えた選択だった。


濡れた髪のまま仮面を被ると蒸れてしまうので、仮面は手に持ってリビングに向かうとC.C.がマグカップを手に待っていた。
甘い香りからコーヒーではなく、こちらの好みのココアを入れてくれたのだろう。
彼女のこういった小さな心配りは本当に暖かいと思う。


「お前は本当にゼロの服が似合わないな。『スザク』」
「そうかなぁ…この服に合うように結構痩せたんだけどな…。」
「体系の問題ではない。お前とはカラーリングが合わないんだ。」
「なるほど。」
頬をかきながら椅子に座り淹れてもらったココアをすする。
暖かいそれは体だけではなく心までもほんわりと暖めてくれた。

「それよりも君が僕の名前を呼ぶのって何年ぶりだろう?」
「さあな。軽く200年ぶり位じゃないか?」
「もうそんなになるっけ?――それよりどういった心境の変化?いきなり…。」
「お前に聞いておこうと思って。この名前で呼ばれる事どうおもう?」
「そうだな……いくら僕と彼の全てを知っている君でもいい感情を抱かない。」
「どうして?」
手に持っていたマグカップを机に置き、うつむく。
彼との誓いが頭をよぎる。
あれから長い時が流れた。それでも彼の声は掠れることなくスザクの脳内で流れ続けた。
「――枢木スザクはもう死んだ。その名前を持つものはいない。」
「ふぅん……。」
「ルルーシュが一緒に連れて行ってくれた。今の僕は――私はただの『ゼロ』だ。」
「一緒にまた生きればいいじゃないか。あいつはまたこの世に現れたんだ。」
「例え彼が私の主の生まれ変わりだとしても。それは彼じゃない。」
「さぁ……それはどうかな?」

にやりと唇をゆがめて笑うC.C.に嫌な予感が走る。
彼女がこういった表情をするときは大抵自分に良い事は起こらないのだ。
ふいっと、彼女の視線が自分の背後に向けられることに気づいたと同時に、スザクは懐かしい気配を感じて勢いよく振り返った。

 

 

 

 

 



 

 

暮色に染まった廃墟に彼はいた。
昔は美しい神殿だったのであろう神話に出てきそうな建物は今にも崩壊しそうだった。
足元にあった瓦礫のかけらを軽く蹴り飛ばす。
崖から落ちたその欠片が地面へとぶつかる音は聞こえない。
どういった構造なのかわからないが、この神殿は空に浮いている。
普段の彼だったらその謎を解明しないと気が済まないのに、今は適当な大きさの瓦礫にぼーっと座り込む。
それはこの神殿は自分たちが知っている科学や物理で証明する事のできる世界とは違う場所にあることを理解しているからだ。

 

 

なぜ俺はこんなに疲れているのだろう。
俺は何をするためにここにいるんだろう。

俺は誰だ。

 


ふと、この無人である神殿に響き渡る誰かの足音を耳にし、うなだれていた顔をそちらに向ける。
現れたのは緑の髪の女。

「―――。」

彼はその女に見覚えがあった。
こつこつと足音を響かせながら彼女は俺の目の前まで近づいてきた。

「久しぶりだな。」
「C.C.――。」
「Cの世界に来たのは久しぶりだ…。」

Cの世界は何も無かった。
あるのは瓦礫だけ。
人も、動物も、風も、音すら存在しなかった。
こんなところで自分は一体何をしているのだろうか。
おそらくここに来た当初は覚えていた。しかし膨大な時間がその記憶を持ち去ってしまった。
ふと視線を足元に向けると、今更ではあるが自分がやけにヒラヒラした白い衣服をまとっている事に気が付いた。
その衣装に驚いていると「何も不思議な事じゃない。お前がその服装でいるのも。体が今起きたかのようにだるい事も。」C.C.がつぶやく。
その意味がわからず、再び視線を彼女の方に向ける。

「どうやら忘れているようだな……お前はゼロレクイエムの後からずっと、ここにいたんだ。ルルーシュ。」
「ゼロ、レクイエム…?」
「そうだ。お前とスザクが二人でやり遂げたあの計画。お前は自分をスザクに殺させる事で憎しみの連鎖を絶とうとした。」
「スザクと…連鎖を絶つ…。」
生気の無かった瞳に、意思がともるのを感じたC.C.は話を続けた。

「お前は人々にギアスを掛けた代償として、Cの世界に精神だけつなぎとめられた。」
「……。」
「それが一体どのくらいの期間なのか――それは私にもわからん。」
「そうか…。」

なら何も変わらないじゃないか…。
それにどうして彼女は今更ここにやってきたと言うんだ。

「部屋に戻ったらルルーシュが倒れていた。それに触ったらここに飛ばされたんだ。」
「俺が?」
「転生したお前の事だ。」
「新しい俺が生まれているのか…変な気分だ。精神はここにあるのにな。」
「その新しいお前が、ここにいるお前と一体化しようとしている。」
「転生した俺がこの俺を求めている?はははっ…笑わせる。」
この廃墟で。やる事も無くただ過ぎ行く膨大な時間に気を狂わされそうになりながらそれでも生きていく事しかできない俺を。
ここにつなぎとめられてからは本当に苦痛だった。
生きる事も死ぬ事もできない。
ただ『存在』するだけ。

それでも気が狂わずに済んだのは彼の記憶があったから。
最後に自分のギアスを受け入れてくれた愛しい彼の記憶が。
その彼も自分が死ぬ時に全て奪い去った。生きる事も死ぬことも。普通の人間として生きる事の幸せすら奪って。
ただ普通に死ぬのではなく、自分が与えた彼への苦痛と同じものを与えられる事はルルーシュの罪悪感をほんの少し軽減させてくれた。

その彼も自分がこうしていたうちにその人生を終えてしまったのだろう。
どうして自分達は常にすれ違ってしまうのか。
共に生を歩めないのか。
苦い笑みが顔に浮かぶのを抑えられない。


その笑みはC.C.が発した言葉により瞬時に消えた。

 


「スザクはまだ生きている。」

最初は驚愕したものの、そんな事があるはずが無い。
からかうな!と睨み付けると「本当だ。」と返される。

「あいつもまた、ギアスに縛られている。」
「そんな…何故……まさか!!」
ふらつく体を押してC.C.の胸倉を掴み上げる。
「まさかあいつにコードを渡したんじゃないだろうな!!!!」
「違う。私はまだコードを保持している。出なければここにはこれまい。」
「なら何故!!」
掴んでいた手をC.C.に叩き落とされた勢いでルルーシュは地面に崩れ落ちる。
ここにきてから一体どこくらいの時間が経ったかわからない。
しかし人間が一生を終えるくらいは過ぎているはずだ。それに今あちらには新しい『俺』が存在しているという。
それなのになぜ、スザクは――。

「気になるか?」
「―――ああ。」
「ならお前をここから出してやろう。」
そういうと彼女はルルーシュの両手をぎゅっと掴みコードを光らせた。

 

 

 

 


すさまじいスピードで何かがルルーシュの周りを駆け抜ける。
目を凝らしてそれらを見つめる。
ああ、あれはアリエスの離宮。
ユフィとナナリーと遊んだ庭園。
スザクとであった枢木神社。
じめっぽくて不衛生だったけど秘密基地に住んでいるようで何となくわくわくしたあの頃。
そして、スザクに誓ったブリタニアへの怒り。
別れと再会――。
そして裏切り。
――和解。
憎しみながらも捨てる事のできない恋情に苦しんだあの頃の記憶がルルーシュを取り囲こむ。

 

それらがルルーシュの中に入り込んできたとき。



ルルーシュは『ルルーシュ』を取り戻した。

 

 

 


「お前がCの世界から解放されるための条件は――自分が自分を許したとき。スザクならきっと……。」

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大学生・星座の観察員
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スザルルにグラグラさせられ、とうとう自分で妄想を形にするにいたった者です。
スザルル同士の方々、一緒に萌えましょうぞ!!

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